家具を引きずった跡、子どもがおもちゃを落としたへこみ、ペットの爪による引っかき傷——フローリングの傷は、普通に暮らしているだけで増えていきます。
気づいたときには「もう手遅れでは?」と思うかもしれませんが、傷の種類と深さによっては自分で十分に補修できます。逆に、無理にDIYで対処しようとして悪化させるケースもあります。
この記事では、フローリングの傷を自分で直す具体的な方法と、プロに任せたほうがいいケースの判断基準を解説します。
まず傷の種類を見極める
フローリングの傷は大きく分けて3種類あります。補修方法が違うので、まず自分の傷がどれに当てはまるかを確認してください。
①引きずり傷(すり傷)
椅子やテーブルを引きずったとき、掃除機のヘッドが当たったとき、ペットの爪が引っかかったときにできる白い線状の傷です。フローリング表面のクリア層(塗装やワックスの膜)が削れた状態で、最もよくある傷です。
表面だけの問題なので、自分で補修しやすい傷です。
②凹み傷(へこみ)
重い物を落としたとき、長期間同じ場所に家具の脚が当たっていたときにできるへこみです。木目は残っているけれど表面がくぼんでいる状態。無垢フローリングであれば水とアイロンで膨らませて戻せる場合もあります。
③えぐれ傷(欠け)
鋭い角のある物を落として表面がえぐれた傷です。木目が消え、ささくれが出ていることもあります。凹み傷との違いは、表面が削り取られて穴のようになっているかどうか。パテで埋める必要があります。
自分でできる補修方法|傷の種類別
引きずり傷の補修
ワックスが取れただけの浅い傷には、最も手軽な方法として補修用クレヨン(「かくれん棒」などの商品名で売られているもの)があります。ホームセンターで数百円で手に入ります。
手順はシンプルです。フローリングの色に近い色のクレヨンを選び、傷に沿ってすり込む。はみ出した分を布で拭き取る。これだけです。近くで見れば補修跡はわかりますが、日常の距離感では気にならないレベルになります。
クレヨンだけでは心もとない場合は、補修用のペン(マーカータイプ)で木目の線を描き足すと、さらに自然に見えます。
注意点:色選びは慎重に。フローリングより少し薄めの色を選んで、塗り重ねて調整するほうが失敗しにくいです。濃い色を選んでしまうと、逆に補修箇所が目立ちます。
凹み傷の補修
無垢フローリングの場合は、水とアイロンで膨らませる方法が使えます。凹んだ部分に水を数滴垂らして5分ほど染み込ませ、その上に濡れたタオルを当ててアイロンを10秒ほど押し当てます。木が水分を吸って膨張し、へこみが元に戻る仕組みです。
ただしこの方法は無垢材にしか使えません。シートフローリング(合板の上にプリントシートを貼ったもの)に水やアイロンを当てると、シートが剥がれたり膨張して波打つ原因になります。自分のフローリングが無垢材かシートかわからない場合は、この方法は避けてください。
シートフローリングや合板の場合は、補修用パテ(シェラックスティック)を使います。専用の電熱コテでパテを溶かし、凹んだ部分に流し込んで固め、ヘラで平らにならす。固まったら補修ペンで色を合わせて仕上げます。
リペアキットとしてコテ・パテ・ヘラがセットになった商品がホームセンターで2,000〜3,000円程度で売られています。
えぐれ傷の補修
えぐれ傷も基本的にはパテで埋める方法で対応します。ただし凹み傷より難易度が上がります。
まず、ささくれやバリ(出っ張った木片)をカッターで丁寧に取り除きます。断面がきれいになったらパテを充填し、ヘラで平らにならす。色合わせは補修ペンで行いますが、えぐれ傷は面積が広くなりやすいため、周囲の木目と色を合わせるのが難しくなります。
直径1cm以上のえぐれ傷は、DIYで目立たなくするのが困難です。無理にパテを盛ると逆に目立つことがあるので、この規模になったらプロへの相談を検討してください。
やってはいけないこと
- 金属ブラシやサンドペーパーでゴシゴシ削る:シートフローリングの場合、表面のプリント層が剥がれて修復不能になる
- 瞬間接着剤で埋める:白く変色してかえって目立つ。専用パテを使うこと
- シートフローリングにアイロンを当てる:シートが溶けたり剥がれたりする
- 色が合っていないパテで埋める:傷より目立つ補修跡が残る。必ず目立たない場所で試してから本番に使う
DIYとプロの補修は何が違うのか
DIYの補修は「傷を目立たなくする」ことが目的です。傷を完全に消すわけではなく、遠目に見て気にならないレベルにする応急処置です。市販のキットを使えば数百円〜3,000円程度で対応でき、軽い傷であれば十分な仕上がりになります。
一方、プロの補修(リペア業者)は「傷がなかったように見せる」ことを目指します。フローリングの種類に合わせた下地処理、複数色のパテの調合、木目の再現まで行うため、近くで見てもどこが傷だったかわからないレベルの仕上がりになります。
費用は傷1ヶ所あたり1万5千円〜3万円程度が相場です。傷の大きさや本数によって変わりますが、張り替えに比べれば大幅に安く済みます。
プロに依頼したほうがいいケースの判断基準
- 傷の直径が1cm以上ある、または深くえぐれている
- 傷が複数箇所に広がっていて、1つ1つ補修するのが現実的ではない
- フローリングのひび割れや浮きが発生している(下地の問題)
- 退去時の原状回復など、仕上がりの品質が求められる場面
- シートフローリングの表面が広範囲に剥がれている
特に注意が必要なのは、ひび割れが入っている場合です。表面の傷とは違い、フローリング材自体が損傷しているため、下地まで水分が入り込んでカビや腐食の原因になります。ひび割れを見つけたら早めに対処してください。
そもそも傷をつきにくくするには
補修よりもっと効率がいいのは、傷がつく前に予防しておくことです。
家具の脚にフェルトを貼る
椅子やテーブルの脚の裏にフェルトパッドを貼るだけで、引きずり傷の大半を防げます。100均でも手に入ります。ただし定期的に交換しないと、フェルトに砂粒が付着して逆に傷の原因になるので注意してください。
キャスター付き家具の下にマットを敷く
デスクチェアのキャスターはフローリングに最も傷をつけやすい存在です。チェアマットを敷くだけで確実に防げます。
フロアコーティングで表面を保護する
フローリングにガラスコーティングを施すと、表面に硬い被膜が形成されて傷がつきにくくなります。日常的な引きずり傷や軽い衝撃であれば、コーティングの被膜が受け止めるため、フローリング本体に傷が届きにくくなります。
ワックスと違って数ヶ月で剥がれることがなく、塗り直しの手間がかからないのがコーティングのメリットです。新築入居時や、既存フローリングの傷をプロに補修してもらったタイミングで施工するのが最も効率的です。
まとめ|傷の種類に合った対処を選ぶ
フローリングの傷は、種類と深さによって対処法が変わります。浅い引きずり傷なら補修クレヨンで十分。凹みやえぐれにはパテを使ったDIY補修が有効です。ただし直径1cmを超える深い傷や、広範囲の損傷はプロに任せたほうが結果的にきれいで安く上がります。
傷を直したら、次は「傷をつけない対策」を忘れずに。フェルトパッドやチェアマット、フロアコーティングといった予防策を組み合わせることで、補修の手間自体を減らすことができます。
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