外壁コーティングと聞くと「洗って塗るだけ」とイメージされがちですが、実際の工程はもっと緻密です。仕上がりと持続年数を決めているのは、コーティング剤を塗る作業そのものではなく、その前段階の「洗浄・除去」の丁寧さです。この記事では、外壁コーティングがどんな工程で完成するのかを解説します。

なぜ「洗って終わり」ではダメなのか

外壁の黒ずみ・コケ・チョーキング(触ると白い粉が手につく現象)は、表面に固着した劣化物です。この劣化物が残ったままコーティング剤を塗布すると、汚れごと被膜に閉じ込めてしまい、コーティングの密着も悪くなります。塗料や被膜が長持ちするかどうかは、この下地がどこまで整えられているかにかかっています。

工程①:足場と養生の設置

作業を安全かつ効率的に行うため、まず足場を設置し、飛散防止ネットやビニールシートで建物周辺を保護します。洗浄中に水や汚れが周囲に飛び散らないよう、この養生を徹底することが、近隣トラブルを防ぐ第一歩になります。

工程②:高圧洗浄(外壁表面の劣化物を洗い流す)

一般的な住宅塗装では、15MPa程度の圧力で外壁全体を洗浄します。この圧力で、外壁に付着したコケ・チョーキング・砂ぼこりなどをまとめて洗い流します。ただし、常に同じ水圧で洗うわけではありません。窓やサッシまわりのコーキング部分、金属系サイディングの表面、ひび割れ(クラック)が入っている箇所などは、水圧を調整しながら慎重に作業する必要があります。

高圧洗浄の作業は、戸建て住宅でも屋根と合わせて半日近くかかることが一般的です。極端に短時間で終わらせる業者は、この工程を簡略化している可能性があるため注意が必要です。

工程③:バイオ洗浄(コケ・カビの根を除去する)

高圧洗浄だけでは、コケやカビの根の部分まで完全に除去しきれないことがあります。見た目はきれいになっても、根が残っていれば数ヶ月で再び生えてきます。カビが広範囲に発生している場合は、アルカリ性の専用洗剤でカビを分解する「バイオ洗浄」を行い、根の部分から除去します。

これは、浴槽や鏡のコーティングにおける「研磨(ポリッシング)」に相当する工程です。表面の劣化・固着物を、素材にダメージを与えない範囲で徹底的に取り除くことで、初めてコーティング剤が均一に密着する下地ができあがります。

工程④:ケレン(旧塗膜・サビの除去)

高圧洗浄やバイオ洗浄だけでは落ちない、傷んだ旧塗膜やサビは、サンドペーパーやブラシで研磨して物理的に除去します。この作業を「ケレン」と呼びます。劣化した塗膜が浮いたまま残っていると、その上にコーティングを施しても密着せず、早期の剥がれにつながります。

この工程こそが、外壁コーティングにおける「研磨」の中心です。削りすぎれば下地を傷め、甘ければ密着不良を招く——バランス感覚が求められる工程であり、業者の技術力が最も表れる部分でもあります。

工程⑤:乾燥

洗浄工程が終わったら、外壁が完全に乾燥するまで時間を置きます。水分が残ったままコーティングを施すと、被膜の下に水分が閉じ込められ、膨れや剥がれの原因になります。天候や気温によって乾燥時間は変わるため、天気予報を見ながら工程を調整するのも業者の重要な仕事です。

工程⑥:下地補修

ひび割れやコーキングの劣化など、洗浄だけでは対応できない傷みがある場合は、この段階で補修します。補修を飛ばしてコーティングだけを行うと、傷んだ部分から水が浸入し、内部の劣化が進行してしまいます。

工程⑦:コーティング剤の塗布

ここまでの下地処理が完了して初めて、コーティング剤の塗布に入ります。素材や気温、天候に応じて塗布方法を調整しながら、ムラなく均一に仕上げていきます。

施工事例|築15年、コケと黒ずみが広範囲に発生した外壁

長年メンテナンスをしていない外壁では、コケが北面全体に広がり、南面には排気ガスによる黒ずみが蓄積しているというように、面によって汚れの種類が異なることがよくあります。このようなケースでは、面ごとに洗浄方法を使い分ける必要があります。

コケが広がった北面では、高圧洗浄だけでは根が残ってしまうため、バイオ洗浄を追加して根本から除去します。黒ずみが目立つ南面では、チョーキングの進行度合いを確認したうえで、ケレンで劣化した塗膜を丁寧に削り落とします。

この面ごとの見極めができているかどうかが、施工後の持続年数を大きく左右します。すべての面を同じ工程で一律に処理してしまうと、コケが残っている面だけ早期に再発するといった不具合につながります。

下地処理を省略するとどうなるか

「洗浄だけ簡単に済ませて、あとはコーティングでカバーすればいい」という考え方は危険です。汚れや劣化物が残ったままコーティングを施すと、以下のような問題が起こります。

  • コーティング剤が下地に密着せず、数ヶ月〜1年程度で剥がれてくる
  • コケ・カビの根が残っていた場合、コーティングの下でそのまま増殖を続ける
  • チョーキングの粉が残っていると、コーティング後もその部分だけ浮いたような仕上がりになる

見た目には同じ「外壁コーティング」でも、下地処理にどれだけ時間をかけているかで、数年後の状態がまったく違ってきます。

DIYとの違い

市販の高圧洗浄機やコーティング剤を使えば、DIYでの施工も不可能ではありません。ただし、水圧の調整(ひび割れ部分や金属サイディングへの配慮)、バイオ洗浄の必要性の見極め、ケレンの適切な力加減など、経験がなければ判断が難しい工程が多く含まれています。特に、家庭用高圧洗浄機の水圧を誤って使うと、劣化した外壁材を余計に傷めてしまうリスクもあります。

まとめ|見えない工程が仕上がりと持続年数を決める

外壁コーティングは、コーティング剤を塗る瞬間だけを見れば単純な作業に見えます。しかし実際には、養生・高圧洗浄・バイオ洗浄・ケレン・乾燥・下地補修という地道な工程の積み重ねがあってはじめて、長期間持続する被膜が完成します。

「洗浄をどれだけ丁寧に行っているか」は、外壁コーティングの仕上がりを左右する最大のポイントです。施工を依頼する際は、この下地処理にどれだけ手間をかけているかを、業者選びの判断材料にしてみてください。

📩 外壁コーティング施工|無料現地調査・お見積り

「外壁の黒ずみやコケが気になる」「下地処理をどこまで丁寧にやってもらえるか不安」「コーティングの持続性を重視したい」など、お気軽にご相談ください。外壁の状態を確認したうえで、最適な施工プランをご提案します。現地調査・お見積りは無料です。

九州全域(沖縄除く)・山口県 対応|グラシオン福岡店(大牟田市)