近年、新築住宅やリフォーム後の仕上げとして「フロアコーティング」の需要は年々高まっています。中でもUVフロアコーティングは、「高光沢」「即日使用可能」「高耐久」といった訴求で広く認知されています。しかし一方で、業界内部からは「正しく理解されていない」「万能と誤解されている」という声も少なくありません。
今回の動画では、まさにUVコーティングの実態とリスクについて、業界側の立場から警鐘が鳴らされています。本コラムでは、その内容を踏まえつつ、フロアコーティングにおけるUVコーティングの真実を整理し、後悔しない選択のための判断軸を解説します。
そもそもUVフロアコーティングとは
UVフロアコーティングとは、紫外線照射によって瞬時に硬化する樹脂塗膜を床材表面に形成するコーティング工法です。
ここで重要なのは、「UV=紫外線対策」という意味ではなく、硬化方法が紫外線であるという点です。この点が、消費者に誤解されやすい最大のポイントでもあります。
UVフロアコーティングの主なメリット
UVフロアコーティングが選ばれる理由は明確です。
- 高い光沢性能
鏡面に近いレベルの艶感が出やすく、見た目のインパクトは非常に強い。 - 即日引き渡しが可能
硬化待ち時間が不要なため、新築引き渡し直前や店舗施工でも工程管理がしやすい。 - 初期硬度が高い
表面硬度が高く、擦り傷に対して一定の耐性を持つ。
これらは事実であり、短期的・見た目重視の用途では大きな武器になります。
業界が語る「UVフロアコーティングの落とし穴」
一方で、動画内で指摘されていると考えられるのが、メリットばかりが先行した販売構造です。
① 硬すぎる被膜によるクラックリスク
UVコーティングは非常に硬質な塗膜を形成します。しかし、床材は温度・湿度で必ず伸縮します。
その動きに追従できない場合、微細なクラック(ひび割れ)が発生するリスクがあります。これは施工直後ではなく、数年後に顕在化するケースが多い点が問題です。
② 部分補修が困難
UVフロアコーティングは、硬化後の再溶解やなじませ補修がほぼ不可能です。
一部に深い傷や剥離が発生した場合、一面再施工が必要になるケースもあり、ランニングコスト面でのデメリットとなります。
③ 「半永久」「30年耐久」といった表現の危険性
業界内でも問題視されているのが、耐久年数の過剰表現です。
実際には、生活動線・家具荷重・清掃方法によって劣化速度は大きく異なり、「何十年もノーメンテナンス」という考え方は現実的ではありません。
他のフロアコーティングとの比較視点
フロアコーティングには、UV以外にも以下の選択肢があります。
- ガラスフロアコーティング
光沢は控えめだが、柔軟性があり、長期的な安定性が高い。部分補修にも対応しやすい。 - セラミック系コーティング
耐薬品性・耐摩耗性に優れ、商業施設や賃貸物件向け。
重要なのは、「どれが最強か」ではなく、住環境・ライフスタイル・維持管理コストに合っているかという視点です。
失敗しないフロアコーティング業者選びの基準
UVフロアコーティングを検討する場合、以下の点は必ず確認すべきです。
- メリットだけでなくデメリットも説明しているか
- 耐久年数の根拠を具体的に説明できるか
- 補修・メンテナンス方針が明確か
- 他工法との比較提案ができるか
これらを丁寧に説明しない業者は、施工後トラブルのリスクが高いと言わざるを得ません。
まとめ:UVフロアコーティングは「適材適所」
UVフロアコーティングは、決して悪い技術ではありません。しかし、万能ではないという事実を理解することが重要です。
動画が伝えたかった本質は、「知らずに選ぶことの危険性」ではないでしょうか。
フロアコーティングは、住宅の美観と資産価値を左右する重要な仕上げ工程です。だからこそ、表面的なキャッチコピーではなく、構造・特性・将来リスクまで含めた判断が求められます。
正しい知識を持ち、目的に合ったコーティングを選ぶこと。それが、後悔しないフロアコーティングの最短ルートです。