無垢フローリングにコーティングを検討するとき、最初にぶつかる壁が「浸透型」と「造膜型」という2つの選択肢です。名前だけ聞いても違いがピンとこない方がほとんどだと思います。
この2つは「木の呼吸を残すか、表面を膜で覆うか」という根本的な考え方が違います。どちらが優れているという話ではなく、無垢材のどの魅力を優先したいかで選び方が変わります。この記事では、2つの違いと選び方の判断基準を解説します。
浸透型と造膜型、根本的に何が違うのか
フローリングの塗装は大きく「浸透系」と「塗膜系」の2タイプに分かれ、見た目やメンテナンス性、使用感が大きく異なります。
浸透型(含浸タイプ)
オイルやワックス系の塗料が木材の内部に染み込んで、木そのものを内側から保護するタイプです。表面に膜を作らないため、素材本来の質感がそのまま残ります。素足で触れたときの木のあたたかみや手触りは、浸透型ならではの魅力です。
ただし、表面に膜がない分、水や汚れが染み込みやすいという弱点があります。液体をこぼして放置するとシミになりやすく、木材の呼吸を妨げない代わりに、防汚性では造膜型に劣ります。
造膜型(塗膜タイプ)
コーティング剤で表面に薄い膜を形成し、木材を物理的に覆って保護するタイプです。水や汚れは膜の表面で止まるため、こぼしてもすぐ拭き取れば染み込みません。傷にも強く、キズがつきにくいという実験結果も報告されています。
一方で、膜を作る以上、多少なりとも光沢や質感の変化は避けられません。「木の呼吸を止めたくない」という考え方の人には抵抗感があるポイントです。
「木の呼吸」という表現について
無垢材のコーティングを検討していると「コーティングすると木が呼吸できなくなる」という表現をよく見かけます。これは半分正しく、半分は誤解を招く表現です。
無垢材は湿度に応じて水分を吸放出する調湿性を持っています。造膜型コーティングは表面に膜を張るため、この調湿の働きが表面レベルでは抑えられるのは事実です。ただし、これは「木が死ぬ」という意味ではなく、「表面からの水分の出入りが緩やかになる」という程度の変化です。木材内部の性質自体が変わるわけではありません。
浸透型は木材内部に浸み込む性質上、表面の呼吸感を大きく損なわないため、この点を重視する方に選ばれる傾向があります。
グラシオンの浸透型ガラスコーティング
無垢材の質感を残したい方に向けて、木の呼吸を止めない浸透型のガラスコーティングを施工しています。SiO₂を主成分とした液体ガラスが木材の内部に浸透し、表面に厚い膜を作らずに素材そのものを内側から保護する仕組みです。
木目や質感の変化を最小限に抑えながら、無塗装のまま使うよりも水や汚れへの耐性を大幅に向上させることができます。素材の風合いを活かしたい注文住宅や、こだわりの無垢材を使った空間に向いています。
選び方の判断基準
浸透型と造膜型、どちらを選ぶべきかは以下の観点で判断してください。
浸透型が向いている人
- 無垢材の自然な質感・手触りを最優先したい
- 経年変化による色味や風合いの変化も楽しみたい
- 水回りや玄関など水濡れの多い場所ではない
- 定期的なオイルの塗り直しなど、メンテナンスに手をかけられる
造膜型が向いている人
- 小さな子どもやペットがいて、水濡れ・汚れへの耐性を重視したい
- メンテナンスの手間をできるだけ減らしたい
- 光沢のある仕上がりに抵抗がない
- キッチンやリビングなど、日常的に水や汚れが発生しやすい場所
光沢の強さに抵抗がある場合でも、艶消しタイプの造膜コーティングを選べば、無垢材の風合いを大きく損なわずに耐久性を確保できます。仕上がりの質感は業者によって差があるため、事前にサンプルやショールームで確認するのが確実です。
無塗装のまま使うとどうなるか
「コーティングせず無塗装のまま無垢材の風合いを楽しみたい」という考え方もあります。ただし、無塗装の無垢材は水拭きができません。水分と一緒に汚れが染み込み、シミや変色の原因になります。
経年変化そのものを楽しみたいという価値観であれば無塗装も選択肢ですが、その場合は数ヶ月単位で他の建具との劣化スピードの差が目立ちやすくなります。「あえて劣化を味わいたい」のでなければ、浸透型・造膜型いずれかのコーティングを施すのが一般的です。
施工前に確認すべきこと
無垢材へのコーティングは、シートフローリングと違って一律の施工方法が通用しません。木材の種類や表面の仕上げ状態によって、施工方法や必要な工程が変わります。
- 無塗装品かどうか:無塗装の無垢材は、コーティング前にプライマー(下塗り剤)を染み込ませる工程が必要になる場合がある
- 木材の樹種:オーク・ウォールナットなど硬い木材と、スギ・ヒノキなど柔らかい木材では、コーティングの浸透具合や仕上がりが変わる
- 既存の塗装の有無:すでにオイルやワックスが塗られている場合、コーティング前に除去処理が必要になることがある
無垢材は自然素材のため、同じ種類の木でも一枚ごとに個体差があります。事前の診断なしに自己判断で施工方法を決めるのはリスクが高いため、経験のある業者に現地で確認してもらうのが確実です。
まとめ|「木の魅力のどこを残したいか」で選ぶ
浸透型と造膜型に優劣はありません。どちらも無垢材を保護するという目的は同じですが、「木の呼吸感・自然な質感を優先するか」「防汚性・耐久性を優先するか」という価値観の違いで選び方が分かれます。
ご自宅の無垢フローリングにどちらが合うかは、使う場所・家族構成・メンテナンスにかけられる手間によって変わります。迷ったら、実際の施工サンプルを見ながら相談するのが一番わかりやすい方法です。
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